黒谷和紙

黒谷和紙の活用事例Case Studies

京都府 綾部市様

やわらかな心に種をまく

森の京都とも言われ、美しい山々と豊かな自然に恵まれた京都府綾部市。
紙すきの里・黒谷和紙の産地でもあるこの地域では、
2003年度から市内の小中学校の卒業生に向けて、
卒業証書を黒谷和紙で作り、贈り届ける取り組みを行なっています。

さらに、2006年度からは、市内の全小学校の卒業生が自身の卒業証書の
紙を手すきで作る、手すき体験も実施。
初めて手すきでの和紙作りを経験する子供たちは、驚きの声を上げながら、
ひんやりと冷たい水に手をつけながら、真剣なまなざしで和紙をすいていきます。

そうして形になった紙は、和紙の原料となる「楮」の芯を活用した特殊インクを使用し、
綾部市青野町にある紙器製造加工販売業タマヤ株式会社の手によって、シルク印刷を用い、
一枚一枚、丁寧に手作業で印刷されていきます。

人から人へと想いを繋ぎながら、手作業で作られてゆく卒業証書。
それはまさに、綾部に住む一人一人の想いが詰まった和紙作り。
この体験はきっと、時間をかけて子供たちの心の中に、
大切な記憶として育まれていくのだと思います。
これからの未来を描く、子供たちのやわらかな心に種を蒔くように。

今年もまた、その小さな手からたくさんの黒谷和紙が生まれます。
そしていつか、和紙を通して心に蒔いた種が、芽吹き、
未来へと花開いてゆくことを私たちは願っています。