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映画「なまくら」(右京太秦芸能人会)
黒谷和紙はたくさんの皆さんに応援していただいて今日までやってこられました。
テレビ、新聞、インターネットなど、様々なメディアでご紹介いただいて、多くの人に知っていただけるようになりました。
取り上げていただいたメディアの一部を順番にご紹介していきたいと思います。
感謝の気持ちを込めて。
映画「なまくら」は、児童文学作品「なまくら」(作:吉橋通夫)の一部を映画化したものです。
児童文学作品「なまくら」は、幕末から明治時代の激変する京都の街で、罪を犯しながらも何とか道を探そうとしている少年少女達の物語です。
オムニバス形式で7つのストーリーが展開し、映画「なまくら」は、そのうちの1つ、「なまくら」という題名の物語を映画化したものです。
2017年夏に黒谷でロケが行われ、黒谷の住人や和紙職人も出演しています。
2017年秋から完成した作品の上映会がはじまっています。
制作は「右京太秦芸能人会」さんで、太秦の映画スタッフが集まって2001年から活動しておられます。
映画の詳細や上映会のスケジュールは、右京太秦芸能人会ページ をご覧ください。
撮影の様子や上映会のスケジュールは、同団体メンバーさんのブログ をご覧ください。
<参考>『なまくら』のあらすじ
14才の矢吉は、住み込んでいた京都の左官屋を逃げ出して、砥石山に来た。矢吉にはいつも胸の中に嫌気虫がいて、辛い事が我慢できず、ひとっところで修業できない半端者としての性(さが)がある。だから、土手づくりの仕事も、駕篭かき人足の仕事も逃げ出してきた。砥石山の親方は厳しいしお金にせこいと言われている。
親方の口癖は、「砥石が無ければ職人の道具や、刃物は全てなまくらになる。砥石で磨き上げなければ使い物にならない」だった。そろそろ逃げ出したくなって来たある日、同郷の12才のトメが足を骨折して、故郷に送っていってあげなければならなくなった。
逃げ出す様に給金を貰って、これ幸いとトメを担いで行く矢吉。故郷の黒谷は、土地が痩せ細っており、男達は外に仕事を探しに行って女と年寄りしか残っていない。唯一の産業は安い手間賃の紙づくりある。
本当は母に会わせる顔などない。村まで来て、遠く母の打つ紙すきの音が聞こえてくると、申し訳ない気持ちで一杯になってしまった。冷たい冬の水に手を入れて紙を梳いている母、不平不満を一度たりとも言ったことが無い。
そんな母の紙すきの音は、美しすぎて家に近ずけなくなってしまったのだ。トメに給金を渡してもらう様に託して村を下り始めた矢吉、その背中に母の自分を呼ぶ声が被った。
優しい母の声、しかし今の矢吉は早く一人前になって紙すきの音に負けない美しくて力強い自分の技が欲しかった。